【笑顔ビジネス③】 伝わらなければ意味がない

【笑顔ビジネス③】 伝わらなければ意味がない

日本人は、笑顔が少し苦手な民族なのかもしれません。
お笑い番組を見て声を出して笑うことは得意です。
でも、自分の喜びや感謝、親しみといったポジティブな気持ちを、笑顔で相手に伝え、分かち合うことは、あまり得意ではありません。

企業から笑顔研修の依頼をいただき、打ち合わせに伺うことがあります。
すると、「笑顔一番店」と書かれた額の隣に、社長さんの少し怖い表情の写真が飾られていたり、研修担当の方が緊張した表情だったりすることも珍しくありません。

一方、海外では、エレベーターで乗り合わせただけなのに、自然な笑顔を向けてくれる人がたくさんいます。
そんな小さな笑顔だけで、その場の空気が和らぐことがあります。

以前、海外のメディアから「世界でただ一人の笑顔コンサルタント」と紹介されたことがあります。
もちろん光栄でしたが、その言葉には「笑顔を教える仕事が成り立つなんて、日本は不思議な国だ」という驚きも込められていたように感じました。

日本人の笑顔ベタには、感情を表に出すことを控えめとした武士文化や、周囲との調和を大切にする農耕文化など、長い歴史の影響もあるのでしょう。
しかし、私はもう一つ、大きな理由があると思っています。

それは「技術」です。
笑いは本能です。面白いことがあれば、誰でも自然に笑います。
でも、笑顔は相手に伝えるためのコミュニケーションの技術です。
技術が不足していると、自分では笑顔のつもりでも、相手には十分に伝わりません。

私は特に、日本人には笑顔の技術が必要だと考えています。
その理由は二つあります。
まず一つ目は、日本人はシャイで自己表現があまり得意ではないことです。
笑顔やアイコンタクトは、相手に安心感や親しみを伝える大切な手段です。

ところが研修で「ペアになって握手をしてください」とお願いすると、多くの方は手を差し出すことはできますが、目線は相手ではなく握った手を見ています。本来、握手は笑顔で相手の目を見ながら交わしてこそ、信頼や歓迎の気持ちが伝わるものです。

二つ目は、日本人の顔立ちの特徴です。
私たちは比較的表情が穏やかで、感情が表れにくい顔立ちをしています。さらに普段あまり表情筋を使わないため、眉や目元、口元の動きが小さくなりがちです。口角が下がっているだけで、不機嫌そうに見えてしまう人も少なくありません。
だからこそ、日本人には少し大きめの笑顔がちょうどいいのです。
笑顔は、伝わって初めて価値があります。

「笑っているつもり」と「笑顔が伝わる」は、実は大きく違います。
幸い、笑顔は才能ではありません。技術です。
技術である以上、コツを知り、少しずつ練習すれば、誰でも必ず身につけることができます。

笑顔が伝わるようになると、人との距離は驚くほど縮まります。
笑顔は、人を幸せにするだけでなく、自分自身の人生も豊かにしてくれる、最高のコミュニケーション技術なのです。

笑顔アメニティ研究所 門川義彦

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門川義彦 株式会社笑顔アメニティ研究所 代表取締役 笑顔コンサルタント。1974年、明治学院大学経済学部卒業、大手アパレルメーカー鈴屋で地区エデュケーター、玉川高島屋店長、ファッションビジネススクール事務局長、営業本部販売ディレクターを経て、89年に笑顔コンサルタントとして独立。今までに全国の小売業、製造業、運輸業、行政・公的機関など100,000人、800社以上に笑顔研修を行う。国内経済誌紙はもとより、ロサンゼルスタイムズ紙は一面で、英国BBC放送では度々、世界で唯一人の笑顔コンサルタントとして紹介される。著書に、新刊「かんんたん笑顔呼吸」「売上がぐんぐん伸びる“笑顔”の法則」「笑顔のチカラ」「頭のいい人より感じがいい人」他、ビデオに「売上を伸ばす 門川式 笑顔のチカラ」他。TV、雑誌等メディア出演多数。・2008年~2010年 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師・2016年~ 2020年獨協大学 全学総合講座「笑顔のチカラ」ゲスト講師