【ハッピー笑顔塾】人間の迷惑な勘違い

動物と人間は、同じ哺乳類。
でも「笑っている」と思う表情の意味は、必ずしも同じではありません。
実は、人間が勝手に“笑顔”と勘違いしているだけ…という場面があるのです。
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馬や猫が、ふと唇を持ち上げて、歯を見せることがあります。
「なんだかニヤッとしているみたい」と思うかもしれませんが、これは フレーメン反応 と呼ばれる生理現象。
フェロモンや特別な匂いを嗅ぎとるため、口の中にある専用の嗅覚器官に空気を送り込んでいるのです。
つまり、笑っているどころか、超・真剣モード。
人間でいえば、ソムリエがワインの香りを集中してかいでいる瞬間のようなものです。
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チンパンジーの世界では、口を大きく開けて歯を見せる「グリマス」という表情があります。
これは、強い相手に向かって「あなたに逆らいませんよ」という服従や恐怖のサイン。
人間からすると笑顔に見えるかもしれませんが、実際はまったく笑っていません。
かって、志村けんさんの動物番組に出演していたチンパンジーのパン君が、新人飼育員に大怪我をさせて降板したことがありました。
背景には、この“笑い”の誤解もあったと言われます。
笑っているように見えても、心の中ではまったく別の感情が動いていたわけです。
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人間は面白い生き物です。
動物の表情だけでなく、ただの絵やマークでも、口角が上がっていれば「笑顔だ」と認識します。
そしてその笑顔に、安心感や好感を抱きます。
たとえば、今話題の朝ドラ「アンパン」のモデルとなった、やなせたかしさんの代表作『アンパンマン』。
丸い顔ににっこり笑顔――実は赤ちゃんも、本能的に丸い形に安心感を覚えると言われています。
笑顔のデザインは、文化や年齢を超えて、私たちの心をやわらかくする魔法なのです。
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「笑顔」というものは、相手の心を読み間違えることもあれば、逆に距離を一気に縮める力もあります。
だからこそ、人間は笑顔に弱く、笑顔に救われてきたのかもしれません。

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